メンタルヘルスの現状

第1章 メンタルヘルス問題の深刻化

メンタルヘルスの不調

メンタルヘルスの不調とは、精神的な健康が損なわれた状態のことをいいます。発熱や腹痛、骨折といった何らかの病気や怪我のように身体的な症状がある場合には、健康が損なわれた状態を想像しやすいと思いますが、メンタルヘルスが損なわれるとは具体的にどのよう状態になるのでしょうか。

「怒りっぽくなる」「睡眠不足」「酒量が増える」、メンタルヘルスが不調になるとこのような心、体、行動の変化があらわれてきます。自社の社員の中にメンタルヘルスの不調者がいないか確認していただくためにも、あらわれる心、体、行動の変化を他にも紹介します。

  • 心の変化

    気分の落ち込み、イライラ、無気力、やる気が出ない、考えがまとまらない など

  • 体の変化

    慢性的な疲労感、肩こり、頭痛、便秘・下痢、潰瘍、血圧の変化、睡眠の過不足、など

  • 行動の変化

    酒・たばこなど嗜好品の時間・量の増加、ミスの増加、集中できない、積極性がなくなる、怒りっぽくなる、など

人により、心にだけ、体にだけと一箇所にだけ表れる場合もあれば、心と行動の変化が一緒にみられるなど複合的に表れる場合もあります。いずれにしろ、このような状況では仕事が捗らないだけでなく、重大なミスや事故につながりかねません。

このようなメンタルヘルスの不調状態に対処せずにいると、状態は悪化していき、しまいには離職してしまうかうつ病や神経症などの心の病気になってしまいます。最悪な状況としては、自殺の可能性もあるのです。

自殺者数、心の不調者数の増加

近年、労働安全衛生法改正等の法整備が進んできましたが、この背景には深刻なメンタルヘルスの問題があります。メンタルヘルスの不調は自殺の原因の一つとしてあげられますが、今や我が国における自殺は主な死因の一つに数えられ、1998年(平成10年)から、自殺者総数は10年連続で3万人を超え、企業で働く労働者の自殺もこの年から急激に増加し、減少する気配が見受けられません(図1)。

また、最近の調査では大きなストレスや不安を感じながら働いている人は全体の6割を超えていると報告されています。このような調査と連動するかのように、うつ病などの精神障害の罹患者数は近年急増しています。実際に、メンタルヘルスに問題を抱えた従業員が、ここ5年間で増えたと回答する企業は8割弱にのぼります(図2)。

図1 自殺した労働者数の推移

図2 ここ5年間のメンタルヘルスに問題を抱えた従業員の増減

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